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グアテマラのエル・インヘルト農園が毎年開催しているコーヒーオークション『Reserva del Comendador』でパカマラ種のReserva de la finca(レセルバ・デ・ラ・フィンカ)を落札しました。
エル・インヘルト農園のパカマラは、世界で最も素晴らしいパカマラ種と言われ、中米産スペシャルティコーヒー専門店カフェテナンゴが自信をもってお勧めするコーヒーです。
焙煎日を限定しての販売となりますが、400g以上お買い上げの場合は、ご希望の日程で焙煎することが可能です。

アプリコット、ブラックカラント、ピーチ。果物が熟したときの魅惑的に甘い香り。そしてダークチョコレート、キャラメルの香ばしく、深く、厚みのある濃厚な甘さ。フルーツとチョコが一体となって限界まで濃縮された【インヘルトフレーバー】は、やはり健在だ。
シルキーな舌触りと丸く柔らかい柑橘系の酸がきちんと存在して甘さとのバランスが非常に良い。余韻が長く、心地よい酸が消えた後、再び果実の甘さが舌から浮かび上がってくる。
フレーバーが口の中で自由自在に動き回っているかのようで、捉えずらく、複雑だが、その個性は非常に明確で、享楽的なコーヒーであることに間違いはない。
そして液体が冷めた時、その特徴は、さらに増大し、加速し、温かい時とは違った驚きを飲む者に与えてくれることであろう。
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グアテマラ北部のウエウエテナンゴ県 ラ・リベルタに位置する、現在4世代目の歴史ある農園。
約25年前にエルサルバドルから持ち帰ったパカマラ種がカップオブエクセレンスで3年連続1位を獲得し、一躍脚光を浴びる。スペシャルティコーヒー界で有名な農園は数あれど、今だに3期続けて1位の座に輝いた農園は、エル・インヘルト農園以外にはなく、コーヒー史に残る名農園であることに異論を唱える者はいない。
パカマラ種だけでなく、近年はゲイシャ種も名高く、ミクロモカと呼ばれるモカ種にも高い値が付く。イエローカツーラ、イエローカツアイ種の混合ロット『イエローナンセ』や混植区画から採れる『トラディショナル』も十分に美味しいが、忘れてはいけないのがブルボン種とマラゴジペ種だろう。
ここで育つブルボンは、テキシックというエルサルバドルで作られた選抜種がほとんどで、この土地との相性が良く、『ラス・マカダミアス』名義でCOE入賞の常連である。ここのブルボンが一番好きだと公言する業界関係者も多い。40年以上前に植えられたという大粒品種マラゴジペも特筆に値する。2011年にたった一度だけCOEに出品されたことがあり、そこで3位を獲っていることからも素晴らしい香味を持っていることが分かる。
素晴らしい気候と土壌。管理された栽培とバリエーション豊かな精製。各工程への深い理解と積極的な設備投資。品質への情熱は尽きることなく、今でもさらに上を目指している。
まだまだエル・インヘルト農園の時代は続きそうである。


このレセルバ・デル・コメンダドールというオークションに出品されるウォッシュト精製のパカマラ種ロットは、3つに分かれている。
毎年どのような区別でその3種が作られるのかは決まっていない。その年その年で農園が実験したいこと、興味のある事に焦点を当てているのかもしれない。
区画違いだったり、収穫日違いだったり、今までにもいろいろあった。早摘みのロットは風味が良くないというコーヒー業界の常識を覆したのもこのオークションのパカマラ種だった。早い収穫日のものでも遅いものでも良いコーヒーは素晴らしい香味を持っていることがエル・インヘルトのパカマラで証明されたのだ。
下の表は、今年のパカマラ種の3ロット。全て同じパンドラ区画で収穫され、フリーウォッシュト(ソーキングあり)で処理をされている。ちなみに精製処理は、P3(ピーク・パフォーマンス・プロセス)と呼ばれ、豆の個性を最大限に活かした方法とされている。
収穫日 |
ロット名 |
乾燥方法 |
2018年3月19日 |
レセルバ・デル・コメンダドール |
温室の中の網棚 |
2018年4月2日 |
レセルバ・デ・ラ・ファミリア |
パティオ |
2018年4月11日 |
レセルバ・デ・ラ・フィンカ |
温室の中の網棚 |
昨年と比べて遅い摘み取りとなった2018年。3月中に摘み取られたのは、コメンダドールのみ。
それよりも約1か月ほど遅れてデ・ラ・フィンカが最終摘み取り。
サンプルカッピングの段階では、レセルバ・デル・コメンダドールが一番良い印象だったが、デ・ラ・フィンカのほうも奥にある底知れぬフレーバーが見え隠れしていた。
約1ヶ月摘み取りが遅いということは、まだフレーバーが開いていないので、実力を発揮するのは少し遅くなるはず。長く使うのであれば今美味しいデル・コメンダドールよりもデ・ラ・フィンカのほうが良いと判断してこちらを落札することになったという訳だ。
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カフェテナンゴとエル・インヘルト農園のつながりは、10年前にさかのぼる。
創業前から農園を訪問し、交流を深めてきた。以下は、ブログからの文章で初めてエル・インヘルトに行ったときのことだ。
<店主ブログより再構成>
初めてこのエル・インヘルト農園を訪れたのは2007年だと記憶している。
グアテマラのウエウエテナンゴにあるアナカフェ(グアテマラのコーヒー協会)の地方事務所でエル・インヘルトに行きたいから道を教えてくれと頼んだ。「アポなしで入れてくれるかどうか分からないよ」と言われたが、断られたら帰ってくればいいだけのこと。1人で農園へと向かった。
2時間近くをかけてたどり着くと、高く張られたフェンスの向こう側にはパティオがあり、大勢の人がコーヒーの乾燥作業をしていた。【御用の方はベルを鳴らしてください】と書いてあるが、そのベルは高く巻き上げられとても届かない場所にある。仕方なくフェンスをつかんでガチャガチャとゆすっていたら、1人の男が気が付いて近づいてきた。「何か用か?」「日本から農園を見にきたんだ。中を案内してもらえないだろうか?」「ちょっと待ってろ。責任者を呼んでくるから」。乾燥場の責任者が来たので、同じことを伝えると、「そうか。では管理人を呼んでくるから待ってろ」。農園全体の管理人が来たので、もう一度同じことを伝えると、農園主に伝えてくるからと言って去っていった。それから5分くらいすると坂の上の方から管理人と農園主アルトゥーロが一緒に降りてきた。そこからカフェテナンゴとエル・インヘルトの交流は始まった。
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【農園主アルトゥーロのカフェテナンゴ深沢店訪問】
今でもエル・インヘルト農園のアルトゥーロは、来日するたびにカフェテナンゴに来てくれる。
一緒にエル・インヘルトのパカマラを飲んで作柄や焙煎について評価しあうのがとても楽しく、勉強になる。
これからも長く付き合っていきたい。
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【ローストによるフレーバーの違いを検証したときの写真】
今年のエル・インヘルトは、雹と収穫期の雨によって多くのチェリーがダメージを受けたが、厳しい選別によって品質を落とさずに良いものに仕上がっている。この豆は入荷から2年くらいは変化を続けるほど息の長い豆なので、半年に一度飲んでみるとその成長ぶりが良く分かる。
・400g ¥11,880- (焙煎日が指定できます)
・200g ¥5,940-
・100g ¥3,186-
※400g以下は、焙煎日限定の商品です。他の商品と一緒にご注文された場合、この商品の焙煎日に合わせて同梱配送となります。配送を分ける場合には、別途送料がかかりますので、ご了承ください。
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